センター概要

原子力災害医療の実施体制

平成23(2011)年3月11日に発生した東日本大震災では、地震や津波等の一般の災害に加え、東京電力福島第一発電所事故による原子力災害が発生するという、未曽有の事態となりました。

このような事態に直面し、従来の原子力災害のみを念頭に置いた緊急被ばく医療体制が万全に機能しなかった反省から、一般災害+原子力災害が発生する事態、いわゆる複合災害への対応に重点を置いた体制整備の必要性が浮き彫りになりました。

平成27(2015)年8月に、原子力規制委員会はそれまでの原子力災害対策指針を改定し、指針の中で「原子力災害医療体制」という言葉が正式に用いられます。これより、それまでの緊急被ばく医療体制から原子力災害医療体制への変化の歩みを正式に進めていくこととなりました。

新しい体制のポイントは、全国の組織として、国が指定する「高度被ばく医療支援センター」ならびに「原子力災害医療・総合支援センター」、原子力施設等立地隣接自治体(※参照)が指定する「原子力災害拠点病院」、同自治体が登録する「原子力災害医療協力機関」の存在です。
 

 

全国にある両支援センターは、災害発生時の人的支援はもちろんのこと、研修等を通して地域の中核となる人材育成を行うこととなります。

地域の核となる原子力災害拠点病院は、派遣チームの整備、災害発生時に確実に汚染又はその疑いのある患者を受け入れるだけでなく、各地域の原子力災害医療体制の核となる病院として、人材育成に寄与するという役割も担って頂くこととなります。

原子力災害医療協力機関は、初期診療や汚染検査、人的支援等現状に応じた可能な支援を行って頂くこととなります。以前の体制と比較して、各地域内での結びつきが強まり、より実効性のある体制となることが期待されます。

 

高度被ばく医療支援センター,原子力災害医療・総合支援センターの役割

本学は,平成27(2015)年8月に原子力規制委員会から「高度被ばく医療支援センター」及び「原子力災害医療・総合支援センター」に指定されました。

高度被ばく医療支援センターは,地域の原子力災害拠点病院等では対応できない高度専門的な診療及び支援並びに高度専門教育研修等を行うことを目的としたセンターで,本学のほかに,量子科学技術研究開発機構(旧 放射線医学総合研究所)・弘前大学・福島県立医科大学・福井大学・長崎大学が指定されています。

原子力災害医療・総合支援センターは,平時において,原子力災害拠点病院に対する支援や関連医療機関とのネットワークの構築を行うとともに,原子力災害時において原子力災害医療派遣チームの派遣調整等を行うことを目的としたセンターで,本学のほかに,弘前大学・福島県立医科大学・長崎大学が指定されています。

両センターの具体的な機能については,【図1】を参照ください。
 

 

また,原子力災害医療・総合支援センターの機能の特性上,地域内でより顔の見える関係を築けるように各機関ごとに担当エリアを設けています【図2】。今後さらに地域内での結び付きを深めていくことが期待されます。

広島大学放射線災害医療総合支援センター組織体制図

上述のとおり,「高度被ばく医療支援センター」及び「原子力災害医療・総合支援センター」として活動していますが,学内では「放射線災害医療総合支援センター」として,関係組織と連携・協力した体制を構築しています。


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