未病・予防医学

杉山 政則 共同研究講座教授

名誉教授

【研究キーワード】
植物乳酸菌、生活習慣病、プロバイオティクス、機能性食品、臨床試験、メタゲノム解析、腸内細菌叢、神経変性疾患、消化器疾患、麹菌

【最近のハイライト】
 植物乳酸菌は、ヒト臨床試験を通じて評価した結果、肝機能数値の改善作用や、肥満の改善効果を有することを明らかにしています。それを国際学術誌「Nutrition」で発表した結果、栄養科学分野で第14回John M. Kinney賞を受賞しました。また、当研究室では、柑橘類から分離した乳酸菌の産生する抗菌性ポリペプチド (brevicin174Aと命名) に関する研究成果を日本薬学会の欧文誌(Noda M. et al., Biol. Pharm. Bull. 38(12): 1902–1909, 2015) にて発表したところ、その学術論文は高く評価され、Highlighted paperに選ばれました。
  これまでに、植物乳酸菌の培養技術及び植物乳酸菌の特定株が産生する機能性分子に関して国内特許10件、国際特許12件を取得しており、本講座は、これらの特許を実用化するための産学連携拠点になっています。
 なお、「未病・予防医学共同研究講座」は平成28年4月に発足した研究室であり、杉山政則教授を含む、准教授2名、助教1名からなる教員で構成されています。

研究者総覧へのリンク

【教育内容】
 高齢者率がきわめて高い我が国では、健康長寿社会の実現を目指し、近年、セルフメディケーションの意識が高まりつつあります。「未病・予防医学共同研究講座」は、平成28年4月1日付で設置された新しい研究室であり、民間企業と積極的に連携することで、植物源から分離した乳酸菌(植物乳酸菌)の機能性研究によって見出された研究成果を、スピード感を持って実用化するために設置されました。
 本講座では、現在、植物から分離された植物乳酸菌を利用し、「生活習慣病と神経変性疾患(アルツハイマー型認知症、パーキンソン病、緑内障)、並びにウイルス感染症等の予防改善」をターゲットとして、創薬の観点から基礎研究および実用化研究を推進しています。
 本講座は、食品臨床試験部門と開発研究部門の2部門から構成されています。前者には「食品の機能性を臨床評価する「臨床評価・予防医学プロジェクト研究センター」が設置され、後者はフロンティア微生物研究センターを有し、おもにプロバイオティクスの基礎研究を実施しています。さらに、本講座は、大学院生や留学生を積極的に受け入れて研究指導を行うことで、博士 (薬科学)の取得者の増加を目指します。
 さらに、学士課程教育における特定プログラム「食品臨床試験プロフェッショナル」の人材育成を担当しており、食品の機能性に関する科学的エビデンスを得るための、「ヒト臨床試験プロトコル作成ができる人材」の育成を担当しています。さらに、「ひろしま医工連携・先進医療イノベーション拠点」事業の1つとして民間企業の方を対象とした「食品臨床試験プロフェッショナル人材育成研修会」を共同研究講座の本プロジェクト研究センターの教員を核として継続しています。
 以上のように、食品臨床試験プロフェッショナルの人材育成と臨床試験評価を通じて、国民の健康意識向上に積極的に貢献したいと願っています。

【研究内容】
1.植物乳酸菌による「脂肪肝の改善及び体内脂肪蓄積抑制」機構の解明
2.神経変性疾患の予防改善に向けた植物乳酸菌の応用研究
3.プロバイオティクスを利用した次世代感染症治療薬の開発
4.腸内細菌叢のメタゲノム解析と消化器疾患治療ヘの応用
5.食品や健康サプリメントの保健機能性に関するヒト臨床試験による実証研究


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